路面電車が走る幹線道路から少し入った比較的静かな住宅密集地の中、3軒長屋を建替えた住まいです。建替え前の茶の間には、南側隣家の間から心地良い風が入り、それがキッチンを通って、玄関まで流れていました。設計もこの風を取り込むことからスタートし、1階にキッチンのある広間と仏間(和室4.5畳)、水廻り、2階にはそれぞれの個室を設けました。仏間南側の大きな開口部から入る風が家全体に流れるように各スペースや階段を配しています。道路からのアプローチは、路地的な空間とし、その先をどんつきとしました。(どんつきとは、関西では行き止まりという意味で、住宅に囲まれたミチでは、共用の庭のような場であったりします)どんつきにL型のベンチを造り付け、親しいご近所さんや友人、家族で過ごせる場とし、町並みにも奥行きを与えています。南側にも庭を設け、外と内部が立体的に繋がることで、さまざまな風の道や視線の広がりも得られています。南の庭には、イロハモミジとコバンモチ、ツツジ、ハイゴケなどが植えられ、花や葉の成長を楽しみ、流れる風を感じられる暮らしを提案しました。
都市の雑然とした環境の中においても内部に閉じ過ぎない、自然の一部としての人の居場所をつくりたいと考えています。
阿倍野の住宅
建築場所:大阪市│主要用途;専用住宅│敷地面積:117.25㎡│建築面積:62.22㎡│延床面積:95.90㎡│構造:木造
構造設計:片岡構造│施工:いなせ建設│写真:鈴木研一
House in abeno
Location:Osaka,Japan│Program:House│Site area:117.25㎡│Building area:62.22㎡│Total floor area:95.90㎡│Structual system:Wood
Structual design:Kataoka Structual Design│Constractor:Inase Construction│Photos:Ken'ichi Suzuki